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技術士 口頭試験を不合格になるための研究 その②〜口頭試験の想定質問と回答( PART 1/4)〜☆

口頭試験の想定質問と回答:ダメな回答と良い回答 その1

  本記事では口頭試験でよく問われる質問に対して、ダメな回答と良い回答を掲載しています。なぜダメなのか・良いのか、その理屈をおさえれば、自分なりの回答集を作成できるでしょう。自分なりの回答集が作成できれば、合格に一気に近づきます。

 

Q1. 業務経歴2分で説明してください」

×.「私は△△の技術者でして、最近経験した仕事は、、、(業務経歴の記載通りに話さない)」

○.「私は△△年△△月に△△大学大学院△△科を修了し、同年△△株式会社に入社しました。入社後△年は△の設計に関わり、、、(業務経歴の記載通りに話す)」

業務経歴を聞かれたら、素直に申込書の記載通りに述べればOKでしょう。まずはアイスブレイクも兼ねた簡単な自己紹介に過ぎません。申込書に記載の経歴とは違う内容を語ると、面接官も経歴を追うのが難しくなり混乱するので、業務経歴に関しては棒読みで構わないと思います。

 

Q2.業務内容の詳細5分で説明してください」

×.「業務内容の詳細に記載のとおり、私は△△、、、(業務内容の詳細の記載事項を棒読みする)

.「私が担当した業務は△△設備の設計でした。設計上の課題は△△をすることで、そのために△△という手法を考案し採用しました。限られた予算と納期で実現するために、まずは実機の前にシミュレーションでの制御確認を行い、実現可能性を検証しました。また、特殊な運転条件を制御条件から外すことによって機能を取捨選択し、限られた人員の中で最適な機能を実装しました。協力会社は海外メーカーだったので、お互いの設計思想や根拠となる規格・法規、いわば技術的な常識が相違していることも多々ありました。そのためコミュニケーションを密にとり、、、(業務の詳細の記載事項を棒読みせず、要点を押さえて発表する))」

業務経歴は棒読みでよいですが、業務内容の詳細で棒読みはNGです。720文字もある内容を棒読みされたら、聞き手も退屈であり苦痛です。業務内容の詳細は、棒読みではなく要点を押さえて発表してください。では、業務の詳細における要点とはなんでしょうか?

 一つ目は、技術力のアピールです。「シミュレーション」「機能の取捨選択」は技術を理解している技術者にしかできませんよね。事務屋さんでは出来ないことです。「シミュレーション」では専門的学識をアピールできますし、「機能の取捨選択」では評価する能力があることをアピールできますよね。

 二つ目は、マネジメントのアピールです。マネジメントとは、4M(ヒト、モノ、カネ、ザイ)の全体最適化を目指すことです。したがって、「限られた予算納期で、、、限られた人員の中で、、、、」というように、4Mの要素をキーワードとして入れました。私はヒト、モノ、カネ、ザイを最適化する能力がある人間ですよ、と主張してください。

 三つ目は、リーダシップのアピールです。技術士の世界では、リーダーシップとは多様な利害関係者と調整できる能力のことを意味します。「海外メーカ」を入れることで多様な利害関係者と調整した実績をアピールしています。「地域住民」「発注者」「官公庁」「社内他部署」でもなんでもよいですが、私は周囲とうまく調整しながら仕事できる人間ですよ、と主張してください。

 ほかにも、コミュニケーションをアピールしてもよいと思います。 

 面接官が本当に知りたいのは、「業務の詳細」そのものではありません。この受験生は本当に技術士に値する資質(コンピテンシー)を備えているのだろうか?ということが知りたいのです。”資質”に絡めた答え方をしてください。私(受験生)は技術士に値する”資質”がありますよ!ということをアピールしてください。

 ここで、技術士に必要とされる”資質”に関して復習をしましょう。技術士に必要とされる資質とは、「専門的学識、問題解決、マネジメント、評価、コミュニケーション、リーダーシップ、技術者倫理」でしたね。これらの単語を初めて聞いたよ、という方は必ず以下のリンクをご一読してください。(試験では資質に加えて、技術者倫理が問われます)

技術士に求められる資質能力(コンピテンシー):文部科学省

 受験対策とは話が逸れますが、これらの資質は技術者が最低限身に着けるべき能力であって、これらの能力があれば十分である、といっているわけではありません。また、これらの資質は遅くとも35歳程度までに有することが期待される、とされていることにも注意していください。技術士はベテラン技術者がキャリアの集大成として合格を目指す資格ではなく、若手技術者がキャリアパスの早期に取得し、今後の長い技術者生活の羅針盤とすべき資格なのです。定年間際の技術者が目指す試験ではなく、若手技術者が目指す試験なのです。 

 業務内容の詳細は普段のあなたの仕事そのものです。業務内容の詳細に関する質問に回答するための特別な試験対策や受験テクニックはありません。必要なのは、あなたの普段の業務において何がポイントで何に留意すればよいのか?という業務の棚卸しの作業です。

 

業務の詳細において、以下のようなことが質問されると想定されます。準備しておきましょう。

  • 失敗したこと、成功したこと、苦労したこと、今後改善したいこと
  • 専門技術を発揮した点
  • 技術士にふさわしいと考える理由
  • あなたの役割は
  • リーダシップやコミュニケーションはどうしたか
  • 何を留意したか
  • 申込書記載事項以外で、技術士にふさわしい業務は何があるか

 

Q3.どうして技術士を受験したのですか?

×「力試し」「社内の昇進に有利」「先輩に憧れて」「技術力の向上のために」

○「クライアントの信用を得られ業務領域を拡大できる」「技術士のつながりを通した人脈形成を期待し自分の知見を高める」

→技術士法の第一条を思い出してください。技術士制度は国家国民のために存在し、技術士は公益のために活動しなければならない、ということがわかりますよね。「力試し」は国家資格制度を公益のためではなく、個人的な自己満足のためにゲーム感覚で利用しており、最悪の回答です。例えば、医師免許を取得する理由が「力試し」だったらどう思いますか? 「社内の昇進に有利」「先輩に憧れて」も個人的な益に由来する理由であり、イマイチ。「技術力の向上のために」は非論理的だと思いませんか?技術士でなくても、技術力の向上は可能ですし、なんなら倫理だのマネジメントだの、非技術的要素も含めて問われる技術士の受験勉強をするよりも、専門誌を読んだり学会に参加するほうがよっぽど技術力の向上につながりますよね。技術力向上のために技術士になる、というのを最大の目的にするのは非論理的なのです。非論理的な回答は思慮が不足している人間だと思われるので避けましょう。

 「クライアントの信用を得られる」「技術士のつながりを通した人脈形成を期待して」は技術士になることで得られる効果ですので、論理的に整合した回答です。また、信用の獲得や人脈形成が、結果的に公益確保につながるのでよい回答だと思います。なお、公益確保は重要な責務ですが、いくら何でも「公共の安全を確保し、公益を確保するため」などとという法律チックな回答は、自分の言葉で語っておらず、気持ちがこもっていない回答ですからイマイチに感じます。技術士になりたいんだ!という熱意をアピールすることも大切です。

 

 技術士 口頭試験対策の第一歩 

 不合格になるための研究その① :口頭試験を受験する際の基本

 不合格になるための研究その②:口頭試験の想定質問と回答( PART 1/4)(本記事)

 不合格になるための研究その③:口頭試験の想定質問と回答( PART 2/4)

 不合格になるための研究その④:口頭試験の想定質問と回答( PART 3/4)

 不合格になるための研究その⑤:口頭試験の想定質問と回答( PART 4/4)