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技術士 口頭試験を不合格になるための研究 その⑤〜口頭試験の想定質問と回答( PART 4/4)〜☆

口頭試験の想定質問と回答:ダメな回答と良い回答 その4

  本記事では口頭試験でよく問われる質問に対して、ダメな回答と良い回答を掲載しています。なぜダメなのか・良いのか、その理屈をおさえれば、自分なりの回答集を作成できるでしょう。自分なりの回答集が作成できれば、合格に一気に近づきます。

 

 Q.あなたが普段業務を遂行するうえで、何か配慮していることはありますか?

 ×「コスト・品質・納期のバランスを考慮し、、、」

○「私が普段から配慮していることは、公益の確保を最優先とすることです。ここでいう公益とは、安全上の配慮のことで、、、」 

 →×の回答でも悪くないと思いますし、減点されないかもしれません。ある意味これは正解のない質問です。正解がないのですが、業務遂行上の配慮は?と聞かれた場合は「公益(≒安全)の確保を最優先しています」と答えておけば安全パイ。公衆優先原則により、公益確保が技術士の最優先事項なのですから、上記のように回答すれば、面接官も減点のしようがないでしょう。

 あなたが建設業や製造業に従事している場合、「具体的な安全上の配慮は?」と聞かれるかもしれません。皆さんが普段から意識していることを回答すればよいだけです。

 

 

Q.技術士倫理のなかで(あるいは、3義務2責務のなかで)、何が一番重要だと思いますか?理由もあわせて教えてください。

×「秘密保持の義務だと思います。理由は秘密保持の義務違反のみ刑事罰が規定されているからです」

公益の確保が一番重要と考えます。技術士倫理綱領に公衆の利益の優先が記載されているように、安全に直結するからです」 

→技術士法においては、罰則の重さと倫理上の重要性は必ずしも一致しておりません。3義務2責務の中で、秘密保持の義務違反だけ刑事罰があるのは事実ですが、それは秘密保持の義務違反だけは必ず具体的な被害者が存在するためです。公益の確保≒安全の確保、という言葉の意味さえ理解していれば、安全は人の命に関わるわけですから、公益の確保が最重要であることは自明でしょう。なお、安全を脅かす行為は技術士法だけでなく、別の法律(例えば業務上過失〜)で重く裁かれる可能性があるということですね。

 

技術士の世界のおける技術者倫理(技術"士"倫理でないことに注意)は、以下のことを意味します。

<コンピテンシー:技術者倫理

  • 業務遂行にあたり、公衆の安全、健康及び福利を最優先に考慮した上で、社会、文化及び環境に対する影響を予見し、地球環境の保全等、次世代に渡る社会の持続性の確保に努め、技術士としての使命、社会的地位及び職責を自覚し、倫理的に行動すること。
  • 業務履行上、関係法令等の制度が求めている事項を遵守すること。
  • 業務履行上行う決定に際して、自らの業務及び責任の範囲を明確にし、これらの責任を負うこと。

 

Q.公益の確保っておっしゃいましたが、具体的に公益とは何のことを言っていますか?

×「えっと、公共の利益になるような、、、そんな感じのことです」

公共の安全、環境の保全、その他の公益(技術士法律第45条の2に明記されています)」です。

 →公益にもいろいろな意味がありますが、安全を確保すること、と解釈してOKです。

 

Q.3義務2責務をすべてあげてください。

×「すみません、覚えていません」

「技術士法における第44条の"信用失墜行為の禁止"、第45条の"秘密保持義務"、第45条の2の"公益確保の責務"、第46条の"名称表示の場合の義務"、第47条の2の"資質向上の責務"、以上です」

→これは絶対に暗記しましょう。なお、「技術士法第46条、47条のとおり〜」と言えるとカッコいいですね。面接官も同じような質疑応答を毎日繰り返しているため、画一的な回答にはうんざりしていると思います。他の受験生とはほんの少し別の言い方をすれば、清涼感を感じて評価があがるかもしれません笑

 余談ですが、技術士法の条文では、「秘密保持義務」であって、「秘密保持の義務」ではありません。資質向上の責務は「第47条の2」であって、「第47条2」ではありません。第47条2は技術士補に関する規定です。

 

Q.技術士法に対する違反行為があった場合の罰則をしっていますか?

×「すみません、知りません」

「名称使用の停止や取り消しといった行政罰があります。また、秘密保持の義務違反については刑事罰があり、1年以下の懲役または50万円以下の罰金があります」

 →たまに聞かれるようなので、暗記しておきましょう。

 

Q.秘密保持の義務と公益確保で、板挟み(つまり一方のルールを守ればもう一方を守れないトレードオフの状況)が発生したら、あなたはどうしますか?もしくは今までの業務でそのような具体的な体験があれば教えてください。

×「秘密保持の義務を優先します」

公益確保を優先します。場合によっては、公益通報者保護法に従って公益通報することもあり得えます」

→技術士倫理綱領にて、”公衆優先原則”が明記されていますので、絶対に公益確保と回答しなければなりません。公衆優先原則とは、公衆(=広く一般社会)を自分(または自分の所属組織やクライアント)よりも優先しなければいけません、という原則のことです。

技術士倫理綱領に関して勉強したことがない方は、下記を参照してください。技術士倫理綱領の解説です。倫理綱領と技術士法やIEA倫理規定との対応も分かります。

https://www.engineer.or.jp/c_topics/000/attached/attach_25_3.pdf

 公衆の利益(公益)とは具体的に何を指すのでしょうか?公益にはいろいろな要素がありますが、一言でまとめるならば、安全の確保です。安全はすべてに優先します。例えば、あなたがクライアントや社内の技術的な不正を目撃した場合、それを秘密にしていた場合にはいつか人命が失われることになるかもしれません。そのようなことは絶対にあってはならないですよね。秘密保持よりも公益確保が重要というのは、そのような事態を想定しています。

 

 

Q.もしあなたが会社内で技術倫理に反する行為を見つけたり、強要されそうになったらどうしますか?

×「私は不正行為には絶対に加担しません。どうしても強要されそうになったら、退職します」

「まずは、(1)事実関係を調査検証します。そして(2)問題であると確証が持てた場合は、(3)関係者の説得を行います。それでも(4)説得に応じてもらえない場合は、(5)適正な機関に公益通報を実施します」

 →×の回答は一見かっこいいことを言っているようですが、最悪の回答です。自分は安全なところに逃げて、不正をみすみす見逃す可能性があるのですから。逃げた本人はそれでよいかもしれませんが、不正のあった製品が世の中に出回ることで、人命が失われるようなことがあるかもしれません。自分だけ退職して逃げるのではなく、目の前で起ころうとしている反倫理的行為を止めてください。

 正しい答えは、○です。この流れは必ず頭に叩き込んでください。なお、適正な機関は監督官庁等であり、マスコミではありません。マスコミへのタレコミは公益通報の保護対象ではなくなるので、ご注意!

 

Q.会社や組織で、捏造や不正を防ぐためにはどうすればよいでしょうか?

×「厳罰化します」

○「まずは不正ができなようなシステム、仕組みを構築します。また社員教員を定期的に実施し、不正を許さないような組織体制や雰囲気を作ることが重要です」

→最も重視すべきことは、不正が物理的に発生しないような仕組みをづくること(システム化)です。もちろん、システム化できないようなことも多くあり、その場合には個人の良心に頼るしかありません。そのために社員教育が重要なのです。厳罰化も確かに有効ですが、 バレなきゃいいや、という考えの前には無力です。したがって、単純に厳罰化します、というだけの回答では、間違いとは言えませんが、点数は低いでしょう。

 

Q.最近の事例で、技術者倫理に反する事例を教えてください。

×「△です(数年前)」

○「△です(せいぜい2年以内)」

 →最近の事例ですので、数年前の事象に答えないように。ニュースを見ていない、情報感度が低い、と思われます。

 

Q.なぜ△△社では、技術者倫理に反する事例が起きてしまったと思いますか?その対策は?

×「意識が低いからだと思います」

○「△△社の技術者倫理が低く、公益より私益を優先したからだと思います。また、△△社には不正を防止する仕組みが機能していなかったからだと思います」

→推測でしか回答できないので、ある意味どのような回答でも正解です。真実ではなく、推測で物事を語っているだけなのですから。ただし、従業員個人の問題に落とし込まず、原因や対策に関しては、個人の観点と組織(あるいはシステム)の観点で述べるとよいでしょう。不正問題はたいていの場合、複合的な要因が重なって起こるものです。個人の意識だけで語るのは、視野が狭すぎですし、不十分な仮説です。

 

Q.コロナウイルスで社会の在り方が大きく変わりました。あなたは技術者としてどのようなことを感じましたか?

→もしかしたら、このような変化球が質問されるかもしれません。自分なりの技術を絡めた回答をできるように、準備しましょう。(あまりにも一般論すぎたり、他人事のように語ってはダメです。自分の言葉で語りましょう)

  

Q.技術士になった後の抱負を聞かせてください。

×「さらなる技術力の向上に努めたい」

「技術士会のネットワークを活用し、専門分野はもちろん他分野に関しても人脈や知見を増やしたいです。また、技術士であるという自覚と誇りをもって、継続的に研鑽を行います。この経験を生かし、社内で後進の指導にあたりたいです。」

→技術力の向上は、技術士にならなくてもできますし、技術士でなくても、技術者たるものすべからく技術力の向上を図らなければなりません。このように、”技術士でなくてもできること”を回答したら、0点。非論理的な思考をするアホだと思われるでしょう。また、”技術力の向上”というワードは技術士の世界には登場しません。口頭試験では、なるべく技術士の世界に登場するワードで発言しましょう。”技術力の向上”を技術士の世界に登場するワードに変換すると、”継続的な研鑽”となりますです。

 技術士のネットワーク(人脈)を活用するのは、技術士でないとできませんので良い回答ですよね。 

 

 技術士 口頭試験対策の第一歩 

 不合格になるための研究その① :口頭試験を受験する際の基本

 不合格になるための研究その②:口頭試験の想定質問と回答( PART 1/4)

 不合格になるための研究その③:口頭試験の想定質問と回答( PART 2/4)

 不合格になるための研究その④:口頭試験の想定質問と回答( PART 3/4)

 不合格になるための研究その⑤:口頭試験の想定質問と回答( PART 4/4)(本記事)