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資格解説:技術士 〜役に立たないけど役に立つ資格〜

「技術士」に関して興味を持ち始めた方向けに、技術士という資格の概要を説明します。受験をしようか迷っている方、技術士とは無関係だが単純に技術士とはどのようなものか知りたい方、よければご一読ください。

 

どのような資格?

 

技術士とは国家に公認された科学技術に関する高度な能力を有する専門家デス!

技術士とは何者だ?

 技術士とは一体何者でしょうか?その答えは技術士法に以下のとおり明記されています。

「技術士とは、技術士の名称を用いて、科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、評価またはこれらに関する指導の業務を行う者」

上記が法的な定義になりますが、技術士をさらに分かりやすい言葉で説明すれば、

技術士とは国家に公認された科学技術に関する高度な能力を有する専門家」ですね。これが技術士とは何者か?の答えになります。

技術士試験は決して超難関試験ではない!

 技術士は高等の専門的応用能力を問う試験であり、(医師免許は例外として)「理系の最高峰資格」と言う人もいます。ただし、格式が最高峰に位置付けられているというだけであり、試験の難易度が最高峰という意味ではありません。筆者にとって、技術士より難易度が高く感じられた理系の国家試験は他にありました(例えば、第一種電気主任技術者試験)

 それにも関わらず最高峰だと言われる理由は、おそらく受験資格として非常に長い実務経験を要求されるからでしょう。決して試験問題自体のレベルによるものではないと思います。この認識は非常に重要です。必要な暗記項目の数や合格率などから言っても、技術士試験は決して超難関試験ではないのです!超難関という幻想に惑わされて、合格を簡単にあきらめないでくださいね。そう、あなたもやればできる!

技術士に関する補足事項

 技術士制度とは科学技術に関する高等の能力を有する専門家(研究者、エンジニア、設計者、技術コンサルなど)を認定する制度ですが、これは第二次大戦後の復興期に信頼できる技術者が社会的に必要とされたことから開始されました(1957年に技術士法が制定)

 同様の技術士制度は諸外国にもあり、米国のPE制度などが有名です。

 技術士試験では科学技術に関する能力のみが問われるわけではありません。技術者としての倫理も試験で問われます。かっこよく言えば、技術士とは能力だけではなく倫理も有する科学技術の専門家ですね。

 

技術士には多種多様な部門があり、同じ技術士でも専門はバラバラ!

技術士は21部門!

 技術士には、機械、電気電子、化学、建設、情報工学、農業、森林、、、など21の部門があり、専門が多岐にわたることが特徴です。一口に技術士といっても、電気電子部門の技術士、農業部門の技術士、などのように各人の専門はバラバラです。 

 「技術士の名称を用いる時は部門まで明示しなければならない」と定められており、名刺などに記載する際には部門名まで記載することになります。例えば、「技術士(電気電子部門)」のように記載します。

 同一の部門であっても二次試験を受験をする際にはさらに選択科目があり、例えば電気電子部門であれば、「電力・エネルギーシステム」から「電気設備」まで5つの選択科目があります。名称はあくまでも部門までを明示しますので、受験時にどの選択科目を選択したかは、本人に聞かないと分かりません。

(参考:日本技術士会HP

               https://www.engineer.or.jp/c_topics/002/attached/attach_2255_1.pdf

 部門(業界)によって知名度が違う!

 技術士は21ある部門ごとにその受験人数は大きく変わります。毎年、建設部門が圧倒的に多く全体の半分近くを占めます。一方、マイナーな部門では受験人数が2桁だけということもザラです。自分が受験を考えている部門があれば、その部門の受験人数を是非調べてみてください。筆者の考えでは、受験人数≒その部門(業界)での知名度&評価≒資格の必要性 だと思っています。後述しますが、あまりにもマイナーな部門であれば、技術士を取得するメリットは少ないかもしれません。

 

技術士の資格は名称独占資格であり業務独占資格ではない! 資格というより検定!

技術士は名称独占資格であり、業務独占資格ではない!

 前述のとおり「技術士とは、技術士の名称を用いて(中略)業務を行う者」という法的な定義がありましたね。技術士の資格を持っている者のみが技術士を名乗ることができ(名称独占資格)、技術士の資格を持っていないものが技術士を名乗ることは法的に許されません

 ここで注意すべき事項は、技術士の資格がなくても科学技術に関する計画、研究、設計、分析、評価といった業務を実施することは可能である、ということです。技術士でない設計者、研究者などはいくらでもいますし、むしろ取得していない者の方が圧倒的多数を占めます。

 つまり、技術士は業務独占資格(医師、弁護士、公認会計士、建築士、電気主任技術者などのようにその資格なしには業務を実施できないもの)ではありません。

 技術士は名称独占資格だが業務独占資格ではない、ということが非常に重要なポイントです。

技術士が業務独占資格となる例外

 例外的に建設コンサルトだけは技術士の資格が必要になりますので、業務独占資格としての性格を持ちます。建設コンサルタント以外では、技術士による業務独占はありません。

技術士は資格というより検定のイメージ

 上記のことから、技術士は周囲に知識・能力をアピールできる検定(TOEIC、英検、漢検など)というイメージに近いと思います。技術士の資格を取得することにより、「私は技術士です!」とドヤ顔で名乗れるようになるわけですが、技術士の資格を活かして何か新たな業務ができるようになるわけではありません。監理技術者や他の国家試験の試験免除などもありますが、それは別の資格でも業務が可能ですし、、、。 

 え、苦労して受験勉強をして、晴れて難関試験に合格しても、資格の効力は技術士であることを名乗れるだけ?と思われるかもしれませんが、その答えは残念ながら部門によってはYesと言わざるを得ない部門もあります。技術士が有利になる部門の一例を下記にあげます。

技術士が業務上有利になる部門

(執筆中)  

技術士は本当に役に立つのか?それは部門による、としか言えない

技術士取得のメリットは部門により大きく変わる

 前述のとおり、技術士は資格というより検定に近く、建設コンサルトを除けば技術士の資格が必須である仕事というのは基本的にありません。人によっては「足の裏のご飯粒」(気持ち悪いから取るけど、取ったところで食えない)と呼びます。技術士の資格がなくても仕事はできるのですから、技術士という資格が役に立たないと思う人もいるでしょう。

 筆者は役に立つか立たないかは部門次第だと思っています。技術士の資格を取得することのメリットは、一般的には次の5つぐらいかと思うのですが、

  1. 能力アピール→知名度や世間の評価の高低は業界による。知名度なければ意味なし!
  2. 技術力の向上→技術士の勉強以外でも技術力の向上は可能。
  3. 文章力の向上→技術士の勉強以外でも文章力は向上は可能。
  4. 人脈の構築→技術士の少ない部門なら有効ではない。学会や社外セミナーでも構築可。
  5. 海外で活躍(APECエンジニア制度など)→認証のない部門では意味なし。

というように、技術士であることの旨味は部門によって大きく変わります。

技術コンサルタントとして独立を目指すなら部門によらず有効

 もしあなたが技術コンサルタントとして独立を目指すならば、技術士という資格は非常に武器になります。企業や大学に組織していれば、その組織に属していること自体が周囲からの信用を生みますが、個人として独立する場合にはクライアントの信頼を獲得するために能力アピールが必要です。技術コンサルタントとしての能力を示す国家資格は技術士ぐらいしかありません。そのためマイナーな部門であっても、技術コンサルタントとして独立を目指すなら是非取得すべきです。

本当にあなたの部門で技術士を取得するメリットはありますか

 ネット上には技術士を取得することのメリットが声高に主張されています。主張者はおそらく、建設・上下水道・機械・電気電子などのメジャー部門の取得者か、技術士試験を飯の種にしている塾・予備校関係者か、試験勉強で成長を実感できた者か、技術コンサルか、そうでなければ心理学的に自己正当化をしている者(苦労して取得した技術士の資格を無駄だとは思いたくない)、といったところでしょう。あなたが上記のどれにも当てはまらなさそうなら、受験の前に本当に技術士を取得するメリットがあるか、考えてみてください。

 筆者(電気電子部門)は技術士の受験勉強の過程で、文章力の向上や社会情勢に対する知見の獲得など、技術者として多くの学びと成長を感じました。その点では受験してよかったな、と心から思っています。ただ、実益に直結するメリットは(まだ)ありません、、、。

 もちろん、技術士になるための試験勉強を通して大きく成長することは間違い無いですし、技術士であることのデメリットは一切ありませんが、代償として失う受験勉強の時間と費用は小さくありません。技術士の資格を取得するメリットと失う時間および費用をよく比較してみてください。

参考リンク

 上記では技術士という資格の概要を述べましたが、詳細は下記のWikipediaと日本技術士会のホームページを参照してください。

ja.wikipedia.org

 

www.engineer.or.jp

 

取得までの最短勉強時間は?

勉強時間は500時間ぐらい?

 技術士は受験生による知識・経験・業務内容の差が大きく、学習時間の個人差が大きいです。筆者は技術士(電気電子部門)を受験しましたが、電気主任技術者やエネルギー管理士(電気)の学習経験があったので、勉強時間の短縮に役立ちました。他のサイトには、1000時間〜2000時間という記載もありますが、さすがに技術士試験に1000時間もかかるかな?というのが率直な感想です。

 過去問(二次試験)を1年分解くのに10時間かけたとしても、10年分で100時間。さらにインプット(専門書や新聞を読んだりノートにまとめる)を1日2時間で勉強し、それを半年続けても360時間。加えて、添削指導、1次試験対策、口頭試験対策などを含めても、500時間勉強すれば合格するのでは?というのが正直な感想です。500時間勉強してもダメであれば、2000時間勉強しても合格しないような、、、。

 

勉強方法は?

 以下を参照してください。

一次試験対策方法(執筆中)

二次試験対策方法(執筆中)

 

末尾までご覧いただき、ありがとうございます。少しでも興味を持たれたなら、あなたもぜひ技術士試験を受験しましょう!ネガティブなことも記載しましたが、技術士の試験勉強を通して技術者として成長できるのは間違いありませんので。